DEVELOPMENT STORIES
製品開発ストーリー
01
FRIXION
フリクション

INTRODUCTION
30年にわたる技術の蓄積が、
魔法のインキを生み出した。
フリクションの基本原理である熱変色の材料「メタモカラー」は、実は1975年に発見されていた。しかし、そこから製品として完成するまでには、30年以上の年月がかけられている。プロジェクトの中心人物である千賀が、その背景を語った。

STORY:01
フリクションの始まり
メタモカラーは、マイクロカプセルに封入された必須成分の化学反応により変色を起こします。開発当初はそのマイクロカプセルのサイズが大きく、変色温度幅も狭かった。筆記具へ応用するためには足りない要素が多かったのです。そこで、1975年の基本原理発見以降、メタモカラーの技術を玩具などに応用しつつ、主力事業である筆記具に展開するため、研究開発を続けてきました。筆記具としての製品化において足りないピースを、歴代の研究員が、年々少しずつ集めていたようなイメージですね。

STORY:02
「製品化」まで繋げられた、技術のバトン
「マイクロカプセルのサイズをより小さく、且つ、膜の強度を上げる」「変色温度幅の広いメモリー材料を作る」「色の種類を増やし、濃くする」など、実に様々ですね。たった一つの研究で、製品化に直結するような要素技術を生み出したわけではないのです。また、「フリクション」を意識した研究ばかりではありませんでした。元々技術開発に力を入れている当社が数十年にわたり積み上げた「技術の引き出し」の中身を組み合わせることで、2002年頃に製品化への道筋が見えてきました。
STORY:03
最後の壁
しかしそこで、新たな難題に直面したんです。それは、実験室でできた材料を、その特性を維持したまま、量産に向けスケールアップすること。500kgという膨大な量のマイクロカプセルを安定生産する技術の確立、カプセルをインキにした際に起こる分離や劣化への対策など、ビーカーサイズでは起こらなかった問題を、試行錯誤を重ね解決していきました。インキ開発職だけでなく、製品設計や生産設備のスペシャリストたち。上市までプロジェクト全体を統括する企画など、あらゆる部門が知恵を出し合ったからこそ、乗り越える事ができたんです。
RESULT
こうして誕生したフリクションは、累計30億本というメガヒット商品へ成長した。文化の違いにより嗜好性が異なることが多い筆記具分野としては珍しく、世界中のユーザーに愛用されている。そして今も、新しい色や機能のブラッシュアップに向けた研究開発が続いており、新商品が世に送り出されている。多くの人に愛用され、浸透している「魔法のインキ」だが、その進化は止まらない。これからも、世の中を驚かせ続けていく。
「」および「
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