DEVELOPMENT STORIES

製品開発ストーリー

02

SYNERGY TIP

シナジーチップ

INTRODUCTION

相反する二つの要素を持った、
まったく新しい形状のチップ。

皆さんがお使いのボールペン。その名の由来は、「ballpoint pen」。ペン先の「ボール」が回転することで筆記できることから名付けられた。そんなボールペンの書き味を大きく左右するパーツが「チップ」。パイロットインキ独自の技術が詰まったシナジーチップを、開発担当の大屋が語る。

STORY:01

そもそも、チップとは

一般的にボールペンのペン先には、コーンチップとパイプチップの二種類があります。何れもインキタンクからチップ先端に送られたインキをボールの回転で紙面に転写しています。このチップですが、一見どのメーカーのどんな製品でも同じように見えるかもしれませんが、実はそれぞれ大きく異なっているのです。チップは、いろいろな種類のインキに合わせ「適正なインキ量を吐出する」「書き味が良いか」や「インキが漏れず、乾かないか」といった使い心地に直結する重要なパーツです。また、ペン先を密閉できるキャップ式と、ペン先が常に空気に触れている状態で乾きやすいノック式など、製品によっても仕様が様々なのです。

STORY:02

シナジーチップのはじまり

シナジーチップの基礎研究が始まったのは2011年のこと。ノック式、かつ細書きタイプのフリクションを実現するためにスタートしました。すでに発売されていた当社のヒット商品、「フリクションボールノック」には、書き出しの良いコーンチップを採用していました。これは、フリクションのインキに粒子の大きなマイクロカプセルが入っているため、インキをたっぷり供給できる形状のコーンチップが適していたからです。一方、細書きに適しているのは、なめらかでやわらかい書き味のパイプチップ。そこで、二つの長所を併せ持ったチップを作ろうと考えたのです。

STORY:03

相反する要素の調和を探る

まずは、パイプチップの先端をコーンチップに取り付けた簡易なサンプルを手作業で作成。一番の難問は、インキの吐出量が多く「書き出し性」が優れることと、インキが漏れず、乾かない「シール性」の高さという、チップを作る上で相反する二つの要素を両立させることでした。狙いの性能が得られるまで、何度も試作・テストを重ねました。
そして、ようやく満足のいくサンプルが完成したのですが、その次に待っていたのが「量産」です。手作業で作り上げたチップを、量産機で安定生産するために、また試行錯誤が必要でした。当社では通常、製品発売日が決定してから設備設計に取り掛かりますが、シナジーチップの設備構築は製品開発と同時進行で行われました。厳しい規格値が設定され従来にはない課題が次々に発生し、量産機を改良しながらの試作は約3年間に及びました。数十万個の試作の末に、ようやく完成したのです。

RESULT

多くの課題をクリアしたシナジーチップ。それが世に送り出されたのは、基礎研究のスタートから約5年後、2016年のことだった。ノック式顔料ゲルインキで当社最細の0.3mm、そしてパステル・メタリックカラーで世界最細の0.4mm、いずれもなめらかな筆記を実現したジュースアップに搭載された。その性能で世界を驚かせた後の2019年、ついに、シナジーチップ研究のきっかけとなったフリクションポイントノック04に搭載された。

DEVELOPMENT STORIES

30年にわたる技術の蓄積が、
魔法のインキを生み出した。

詳しく見る

0103

DEVELOPMENT STORIES

相反する二つの要素を持った、
まったく新しい形状のチップ。

詳しく見る

0203

DEVELOPMENT STORIES

シンプルな原理を使った、
新構造のインキ供給システム。

詳しく見る

0303